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---まずはじめに!!---
当ページは自宅でできる自家塗装というのをコンセプトにしています。しかし自宅で可能な塗装というのは範囲が限られていますし、最初から上手くいくとは限りません。
プロの方は長年の経験を経て、業を会得しているはずです。自家塗装でも経験を積めばある程度の仕上がりにはなると思いますが、当然プロの方の仕事と比べると出来は違うでしょう
完璧な仕上がりにしたいのなら、素直にプロのクラフトマンさんに頼むことをおすすめします^^;



塗装を始める前の基礎知識
ちょっと塗料の話
通常ギター塗装にはポリエステル、ポリウレタンなどの塗料が使われています。一部の機種にはNCラッカーが使用されていますが、ポリ系のほうが断然多いです。

(ポリ系の塗装はある程度の設備が必要ですので、手軽な自家塗装という観点からは度外視させていただきます )

自家塗装では缶スプレーをメインに使いますので、ラッカー系塗料を使うことになります。この「ラッカー」という意味は「乾燥が早い」ということの総称で、成分うんぬんはあまり関係がないようです。スプレーではアクリルラッカーやニトロセルロース(NC)ラッカーがほとんどだと思います。
その違いというのはあまり良く知りませんが、アクリルの方は薬剤に多少強く黄変が少ない。NCラッカーは黄変しやすく、ツヤが良いといった所でしょうか。。
ラッカー塗料はポリ系の強制硬化と違い、「自然乾燥」で徐々に硬化していきますので、厚く塗った場合は表面のみ硬化して、中の塗料が硬化しないといった「硬化不良」が起こることもあります。

また水性塗料というのもあります。これはラッカー塗料がシンナーで薄めるのに対し、水で薄めているものです。これをメインで使ったことはありませんが、絵を書いたり、墨入れを行ったりと使い方により重宝することもあります。

自家塗装の心得
塗装は焦ったら失敗します。塗装後も焦ったら負けです。またやり直しということも…当ページでは缶スプレー[ラッカー塗料]を使用する際のことを説明しますが、ラッカー塗料というのはソレ自体は乾燥は早いですが、塗り方によっては乾燥が遅いどころか硬化不良となることもあります。
そのため
●時間に余裕を持つ(急いでやって上手くいくことはありません。心と時間にゆとりを持つことが大事です)
●木地調整を大切に(木地の段階を丁寧にするかしないかで、仕上がりにも大きく影響してきます)
●厚く塗らない(薄く何度もが基本です)
●塗装直後数時間は塗面に触れない。その後も塗面は握らない
●十分な乾燥時間(放置時間)をおくこと
完全硬化までは数ヶ月とも言われますが、私の場合は4ヶ月はハンドルでつるしたり、ギターハンガーを使用し保管しています。その後も使用していない時は極力ハンガーで保管するようにしましょう。

塗装する環境について
換気に注意しましょう。
作業は外で。保管は室内で
室内での塗装は気分が良くなるので注意しましょう^^;下手すると有機溶剤中毒なんてことも。。また、塗装時も色はぎ時もマスクをすることをお薦めします。保管は室内のほうが安心できます。
塗装と天候
これも重要です。湿度の高い時にラッカー塗装をすると、塗料が白く濁り大変なことになります。磨けばなんとかなると思いますが、できれば避けたいですね
塗装時のホコリ
これもこれも重要。塗装中にホコリなど付くことがよくあります。こういうことを少しでも避けるために、塗装前に近くの地面に水をまけば、地面のホコリが舞い上がらないので、できるならして欲しいです。水をまく範囲は大きければ大きいほどいいです^^
塗装前のボディに水が付かないように注意です。
火気厳禁
基本ですね。スプレーなど吹いているときに火気があったりすると、そのままボディめがけてファイヤーします。
色をはいでいる時も、削った粉が元で「粉塵爆発」の可能性がないとはいえません。
オイルフィニッシュのオイル料は布に染み込んだあとに「自然発火」をおこす危険性も。。。廃棄方法は説明書に従ってください。
いずれにせよ、たばこなどのごくわずかな火気にも注意をはらって作業しましょう。

塗料を比べる
使用可能までの期間 塗装厚さ 備考
ラッカー系 遅い 薄い 塗面薄く音鳴りもいいが、完全硬化が遅くその後の取扱いにも気を使います。ラッカーはゴムと反応しますので、スタンドなどもラッカー対応の物を選びましょう。また硬度が低いので傷が付きやすいです。
ポリウレタン系 早い 厚い 仕上がり早いが塗膜厚く、また塗装にはある程度の設備が必要。この塗膜が厚いというのは製造ラインで塗装した場合で、塗り方により薄く仕上げることも可能です。
オイルフィニッシュ 中(ボディ材による) 音良い。定期的にメンテが必要らしい

  
ポリエステル、ポリウレタン塗装
ごく普通のキ゛ターはポリエステル、ポリウレタン塗装により仕上げられています。
特徴は、肉厚で環境に強いことと、その頑強さゆえに出荷時の音をキープできるということ。
(塗装方法、技術により薄塗りも可能。) このポリ系塗装はエアー工具などの設備が必要で、自家塗装というのは難しいかもしれません。

ラッカー塗装
長所は、なんと言っても『極薄塗装』(塗装により厚くなる場合もあります)。薄い塗装により100%に近い本来の『鳴り』を確保できます。 また、しっかりとした環境で保管すると、木材の水分が徐々に抜け、『枯れたトーン』になります。
呼吸のできる塗装と言ってもよいでしょう。

短所は環境に弱いということ。ラッカーは元々の『硬度』が低いために傷が付きやすく、塗膜が薄いから木材保護力はポリ系より劣ります。
取り扱い、保管の難しい塗装ですが、それでもラッカー仕上げの楽器は人気があります。それだけ『鳴り』がよいのでしょう。
自家塗装ではこのラッカー塗装が可能。


オイルフィニッシュ
塗料の代わりにオイルをしみ込ませ木材を保護する方法。 一部のボディにもこの方法は使われていますが、ネックのオイルフィニッシュというのが人気があります。
長所はとにかく手に馴染む、自然な風合い、『鳴り』でしょう。 木材の上に膜を作る塗装ては違い、中にしみ込ませることにより、手触り、風合いは『木』そのもの。また、塗装がないために100%の『鳴り』が得られます。
短所はメンテナンスが必要なことと、保護力。湿気もですが塗装がないために衝撃に非常に弱いです。保護力は0といっても過言ではないでしょう。
また時の経過でオイル成分が木材内部にしみ込んでいくので、定期的にオイルで磨く必要があります。 このように保管、取り扱いに気を使いますが、ネックのみオイルフィニッシュをするという方もいるようです。

注意!!
塗料メーカーについて
塗料メーカーにより成分が違うことがあります。何も問題がなければ良いのですが、最悪の場合チヂレや硬化不良が起こることもあります。ですので、本塗り、クリアー用の塗料は同一メーカーを使うことをおすすめします。
もし違うメーカーや違う種類の塗料を使う前は、何か別の木なんかで実験したのち本塗装をしたほうがいいですよ^^

目止め
生木から製作する場合は目止めが必要になります。目止めとは塗料が木の中に入らないようにする作業です。目止めをしないと塗料を木がガンガン吸い込んでしまい、いつまで経ってもキレイになりません。
実際メーカーさんはウッドフィーラ−、ウッドシーラ−を用いているようですが、店頭には置いてないと思います。その代替として木工用プライマースプレー木工用シーラ−との粉木工用ボンドで目止めが可能です。
木工シーラ−、との粉は説明書どおりでいいですが、木工ボンドは少し違います。まず少し水で薄めてドロドロ感をなくします。そして布などでボディに擦り込み、乾いたらペ−パーで整えます。
この目止めが終わったら、今度はサンディングシーラ−です^^
目止めについてはこちらで説明しています。

なお、DAI KAWAGUDHIさんの運営されているサイト『DAI KAWAGUCHI』の木工講座で詳しく説明されてあります。
木工講座のディープリンクはこちらから行けます。


木材別塗装手順
導管の浅い木材 代表的な木材はアルダー、メイプル、バスウッド、ポプラ。
木地からの塗装の場合
木地→ウッドシーラ−→サンディングシーラ−→着色→クリアー→研磨
サンディングシーラ−を残した塗装の場合
調整済み木地→着色→クリアー→研磨
導管の深い木材 代表的な木材はマホガニー、アッシュ、セン、ウォルナット、一部の杢のある材。
木地からの塗装の場合
木地→との粉→ウッドシーラ−→サンディングシーラ−→着色→クリアー→研磨
サンディングシーラ−を残した塗装の場合
調整済み木地→着色→クリアー→研磨

塗装方法別アドバイス
着色塗装(つぶし塗装)
[ソリッド]
難易度★☆☆☆☆
木地を塗りつぶすために、木地調整の際、さまざまな補修ができます。
塗装直前の仕上げ用ペーパーは#320程度。好みにより最後のクリアーコートを省くこともできます
着色塗装(つぶし塗装)
[メタリック]
難易度★★☆☆☆
ソリッド塗装とさほど変わりませんが、捨て吹き(白あるいはサフェーサー)、クリアーコートは必須。
色ムラになるため、クリアー前のペーパーでの調整はしない方が良いです。もし調整する場合は全体にペーパーをあてるか、もう一度軽くメタリックを吹きます。
塗装直前の仕上げ用ペーパーは#320程度。メタリック塗装時は、遠くから吹き、メタリック粉を立たせるように塗装するとより輝きます。
ナチュラル塗装 難易度★★★☆☆
着色はせずにクリアーだけで塗装しますので、木地調整とボディの傷みが重要。補修というのがほとんどできないのでボディの傷みがひどいとキレイに仕上がりません。
全体の木地を出す、または全体のサンディングシーラ−を残すといったボディ全体の色の均一化を心掛けてください。
塗装直前の仕上げ用ペーパーは#400〜600程度。ペーパー傷が残らないように早い段階で細かいペーパーを使うようにしましょう
木地着色ナチュラル塗装 難易度★★★★☆
木地の段階でニスのような染料で着色し、クリアーで塗装します。木地調整とボディの傷みが重要。補修というのがほとんどできません
染料を染み込ませるために全体の木地を出さないとムラの原因に。また染料の濃度が濃いとムラの原因になりやすいので、濃度を薄めにして何度も塗っていくほうが良いです。
塗装直前の仕上げ用ペーパーは#400〜600程度。ペーパー傷が残らないように早い段階で細かいペーパーを使うようにしましょう
シースルー塗装 難易度★★★★★
下に木目が透けてみえる塗装方法。今までは缶スプレーでは無理と思っていましたが、[キャンディカラー用スプレー]で可能になりました。しかしこれは難しいです(><)まず、ナチュラル塗装のように木地をしっかり整えないといけません。それと塗り過ぎると塗りつぶし状態になり木目が見えなくなる。。。さらには透明の強い塗料だからムラに注意しなくてはいけません。理想の濃さにならなくとも、ムラの少ない時点で完了したほうが良さそうです。

塗装直前の仕上げ用ペーパーは#400〜600程度。ペーパー傷が残らないように早い段階で細かいペーパーを使うようにしましょう
キャンディ塗装
難易度★★★★☆
メタリックに近い塗装ですが、仕上がり時の透明感、ラメ感が違います。塗装方法も若干特殊で下地に目の粗い[シルバー][ゴールド]を吹き、その後に[キャンディカラー用スプレー]を吹きます。
この場合もムラに注意です。
塗装直前の仕上げ用ペーパーは#320程度。
サンバースト系 難易度※※※※※
この塗装方法は自家塗装レベルの技術、設備では不可能と思ってください。木地着色ナチュラル塗装の応用で、木地の段階でサンバーストのように着色してする方法もありますが、現実的ではありませんし、かなり難しい塗装になると思います。
オイルフィニッシュ 難易度★★☆☆☆
色はぎ時に完全に木地を出さないといけないが、生木が出たあとはオイル料を塗るだけ。あとはじゅうぶんに染み込ませ布で拭きあげる。色ムラと削り傷に注意。
塗装直前の仕上げ用ペーパーは#400〜600程度。ペーパー傷が残らないように早い段階で細かいペーパーを使うようにしましょう






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